ウサギが走っているイラスト

もしもウサギにコーチがいたら

 少年サッカーコーチになって2ヶ月。どうやら、子どもたちがあまり上達していない。これは由々しき事態だ。

 友人のサラサラの研究室を訪ねた。彼は少年サッカークラブを運営する経験豊富なコーチだった。「はい」と彼が渡してくれた本のタイトルは、『もしもウサギにコーチがいたら』。

コーチの仕事は考えさせることです。ウサギが答えを求めてきたときはいつだって、にこやかに言います。
「知らない」 (p.59)

 ボクはおそらく、一生懸命教えようとし過ぎていた。サッカーの魅力をどこかにほっぽり投げて。「サッカーコーチ」という名札を「サッカー選手」に取り替える。そして説明を放棄することにした。

 勝手に始まる練習。すると、いつもはおしゃべりが止まらない子どもたちが、見本の動きを黙ってじっと見ていた。こちらが何を言うか、聞き耳を立てながら。説明しない方が、なぜか伝わった。

「えー、もう終わり?」

 たぶん、今日の練習は上手くいった。

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