鼻歌を歌い、ご機嫌なヒヨコのイラスト

いいコーチ

 春は別れの季節となる。

「いいコーチって、どういうコーチですか?」

 難問が飛んできた。ただ、この手の質問には、いつもこんな風に答えることにしている。

「黙って見てくれるのが、いいコーチ。きっと才能を伸ばしてくれる。さらに、いつもご機嫌なら、素晴らしいコーチ。その出会いに感謝だね」

 選手の能力を上げる方法は千差万別。合う合わないがあったりする。でも選手の能力を下げる方法はある程度決まっている。

 それは『プレー中にアドバイスをすること』。そして『機嫌悪くいること』。だから視点を逆にしてみて、能力を下げることを”しない”コーチがすなわち”いいコーチ”なのですよ。まあ、受け売りですけど。

 そんなことを伝える。それからしばらく経って、センチな気分に浸っている頃、彼らは再びやってくる。そして決まってこう言うのだった。

「そんなコーチいませんでした」

 その報告を受けるまでが、子供たちとの別れのエピローグ。

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