勉強会の後は、いつもの居酒屋で延長戦となる。モジャモジャ先生が前に話した、『速く走る秘密』や『ゆっくり走ると、速く走れる』。それらの話が、みんなを混乱に巻き込んでいた。
その日、質問攻めにあった先生は、こんな話をしてくれた。
「小さい子供って、自転車を軽いギアのまま走らせたりしますよね。ペダルはシャカシャカとすごい速さで回っているのに、自転車はゆっくりと進んでいる」
「速く走るには、ギアを上げればいいんです。ギアが上がっていないから、一生懸命漕いでも、スピードが上がらない」
「ギアを上げるコツは、カラダに関わる割合を減らしていくこと。力を減らしていって、カラダに任せていく。グッと力を込めて地面を蹴るんじゃなくて、スッと足を地面に置いていく。ただそれだけなんですよ」
そんな話だった。ボクは足元を見た。今日はランニングシューズだった。夜の風になる準備は整っていた。
