弓道の練習をしているヒヨコのイラスト

弓と禅

 ある日の勉強会で、『弓と禅』という本が紹介された。正直、本の説明にはついて行けなかった。ただ、「スポーツの奥義が詰まった本です」というフレーズに惹かれて、すぐに本屋に走った。

『弓と禅』(オイゲン・ヘリゲル 著、稲富栄治郎・上田武 訳、福村出版、1981年)の書影

「自分から離れる」

 師の言葉というのは、古今東西よくわからないことが多い。それでも、ふと思い当たる節があった。

「良い動き」が思わず出来た時、まるで「自分じゃないみたい」と感じることがある。気持ち良く走ったら、なぜか速く走れた。力を入れていないのに、すごい力が出た。「自分じゃない誰か」が身体を動かした時、なぜか上手くできる。

 ただ、どうしたら自分から離れられるのか。どうすれば「自分じゃない誰か」は現れるのか。そこが問題だった。

 それでやっぱり、モジャモジャ先生を訪ねた。

「大丈夫ですよ。心配いりません」

「なぜかと言うと、その謎を抱え込んだ瞬間、もうスポーツの奥義に触れているんです」

 先生はニコニコしながら、そう言った。

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