可愛らしいクラゲのイラスト

限りなく透明に近い自分

 試合中に、手足が鉛のように重たくなる。身体の自由が利かなくなる。誰だ、羽交い締めしてくるのは。もちろん、後ろを見ても誰もいない。

 この症状をモジャモジャ先生に話したら、「その時、どんなことを考えていますか」と聞かれた。……カッコいい所を見せたい。なるほど、その思考がすでにカッコ悪い。

 そこで、自分をいないことにしてみた。自分を薄めていって、限りなく透明に近づける。ピッチの上では1人足りないかのように。スタートラインでは棄権しているかのように。目立たなくていい。透明に透明に。

 すると、身体は素晴らしい動きをしてくれた。だけど、褒められると透明ではなくなっていく。カッコいいでしょ。そんな自分が現れて、また後ろから羽交い締めしてくるのだった。

 どうやら、自分が薄まると身体は躍動する。ただ、躍動して賞賛される時、残念ながらそれを味わう自分はそこにはいない。

 そこには、ただただ爽快な気分だけが残っていた。

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